・・・・あの日は、わかんねーことが多スギだった。
ジブンのことでわかんねーことなんて、フダンねーのに。
胸のヘンが、 グ ってのと、 チク っての。両方あった。
藤真サンの泣き顔に・・・なんかすげー興奮した。
グ ってのは、わからんこともねー。たぶん。
藤真サンを泣かせてんのは、他の誰でもない、俺だってコトだろ。
ユウエツカン?って、言うんかコウイウの。
でも、
チク ってのは、何だってんだ。
アンタが、泣いてるってコト??
俺のせーで、泣いてるってコト??
なんだ、この胸のチクチク。初めてだ。
・・・これが、ザイアクカン???
わかんねーなら、わかんねーままアンタに伝えとけば良かったのか?
でも、もっと、もっと。
自分でもワケわかんねー自分のコト説明するなんて意味がねーと思っタ。
俺はアンタとただ抱き合ってたかった。もっともっと。ただそれだけだ。
I Want This only2
「センパイ」
「・・おう!?なんだ、流川??」
三井先輩だ、と思っタ。コウイウ事を聞くには。
選手層の薄い中からだが、仕方ねー。
俺ん知ってる中だったら、人選に間違いはねー。三井サンで、多分ダイジョーブなハズ。
だって・・宮城キャプテンもチガウ気がする・・・・・ドアホウなんて論外だ。
昨日もその前も、部活が終わってから寝るまで、結局わかんねーまま。
このモヤモヤ、もう、うざってー。カンベン。
だから今日は朝から早めに学校来て、
1限目の後の休み時間、3年の教室まで三井サンを捕まえに来た。
三井サンはかなり驚いた様子だったケド、 話があると告げると俺を促して廊下へ出てくれタ。
この、モヤモヤを。
アノ人に関する、ナゾを解くために・・・・・
先輩。なんか俺に、糸口をくれ。今スグ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おい!こらこの1年坊!
3年の教室まで押しかけといて、無言かよ!!何の用なんだまったく!!」
「・・・何の用?」
「おう!こちらと気が長いほうじゃねえからな!
わざわざここまで来るなんて、何かしら用件あんだろ?早く言え早く!!脳みそ、起きてんのか?ったく」
「・・・ヒトを泣かせたら、どうすればいいんスか」
「は?」
「泣かれたんす」
「ケンカでもしたのか?」
「そうじゃねー」
「誰を?」
「大事なヒト」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・センパイも、わかんねーすか?」
「・・・・はあ??!!今、何つった!?大事なヒトだぁ!?」
「そうだけど、それが何」
「・・そういう女、いたのか!?おまえ!!」
「オンナ??」
「・・こいつは驚いたぜ・・・」
オンナじゃねーんだけど、
と思っタけど、言ったらまた騒ぎそうな気がして、
めんどくさくて口に出すの、やめた。
そんなこと、どーでもいい。
答えが聞ければ、俺はいーんだ。
早く、答えをくれ。
・・・目の前で三井サンがめちゃくちゃなんともいえねー顔シテる。
ビビってるっぽくも見えるし、
困っているみてーにも見えるし、
面白れーもん、見つけたときみてーでも。
三井サン、が、噂話が好きで、口が軽いことなんて知っテル。
しょっちゅう宮城キャプテンと
どーでもいいようなヤツのどーでもいいようなあることないことを、
すげー楽しそうにしゃべってるから。
今からの俺の話も、言いふらすかもしれねー。
でも、ソンナこと、どーでもいい。
よく自分のことを知らんヤツらにウワサされたり口出されたりはめんどくさいしそれなりにうっとおしいが、
ホント、どーでもいいコト。
それより。
泣かせてしまったアノ人と、また前みたいに戻ってバスケをする方法。
んでもって、あの日みたいにたくさんキスしてたくさんSEXしてって毎日を過ごす方法。あんだろ?
この、俺のモヤモヤをなくす方法、知りてーだけ。
ただ、それだけだ。それだけ、欲しい。
「・・お前はその・・その娘と、つきあってるのか!?」
「ツキアッテル・・・・??」
「なんだ、違うのかよ?」
「ツキアウとかは知らねー、ただヤっちまたら泣いちまって」
「?Σ?☆??∀????!!!」
「・・・・・・・・?」
なーーんて面白いカオしてんだ、三井サン。
眼とか飛び出たみてーで、
顎とか、外れたんじゃね?ってくらい下まで下がってル。
「・・・ヤっちまったって・・・襲っちまったってことか??!!」
「せっくすシタ、ってことっス」
「・・・!!!!オマっっ・・・・・さっきつきあってるやついないっていったじゃねーか!」
「ツキアッテ、はない。と思う」
そんな話を藤真さんとしたことはねー。
そういえば、藤真さんは俺のことどう思ってんのか。
俺とみてーに、一緒にいたいとかSEXいたいとか思ってくれたから、あーなったんだよな?聞いたことねーが。
「つきあってないのにヤるってどんな状況だよ。遊びだったのか?」
「アソビ??」
「違うのか」
今まで何聞いてたんだ。
「大事な人ってゆった。俺は、ホンキ。向こうは」
「向こうは?」
「・・わかんねー。聞く前にヤッちまった」
「も、もしかして強姦か!?・・・犯罪だぞ!?お前捕まるぞ!?」
「ゴーカン?・・って、何?」
「知らねーのか!?無理やりヤっちまったのかってことだよ!!相手が嫌がってんのにな!!」
「・・・・・・・・」
無理やりヤった・・・・??ハテ・・・・・??
あの時の藤真さん。嫌がってたような、嫌がってなかったような・・・・・。
・・・あ。でも、もしかしたら、嫌だったんかも。
だって、藤真サン、泣いてタ・・・キレイだった。
でも、あの涙の意味は、何。
「どうなんだ!?強姦なのか!?」
「わかんねー」
「わ、わからんだと!?」
「俺はただ、アノ人が、他の男のモンになるなんて許せなかっただけ。
自分だけのモンに、しておきたかっただけだ。だから、シた」
「・・・お前はその娘のことが好きなんだな」
「スキ?」
「そうだ。好きって気持ちは、独占欲と支配欲と近いところにある。
そして最後は性行為と結び付く」
「・・・好き」
その言葉をハンスウしてみて。
「こーいうキモチのこと、そういやいいんスか」
「ああ、そうだ。まったく、お前の思考回路とか性教育とかはどうなってんだ?」
「どうもなってねー。じゃあ、俺は好き。アノ人のこと」
納得する。俺は藤真さんがスキ。
「で、そのことを相手の娘は?」
「知らねー。伝えてねー。」
「お、おまえ~・・・そこまで思っときながら・・・・・・伝える前にしちまったのか・・・
・・・否、さすが流川というか、なんというか・・・・・・」
アノ人に対する自分の、キモチ。
なんか、胸の奥がきゅーーってなったり、
ずっと一緒にいたいって思ったり、とにかくうまく言い表せない、
アノ人に会ってから初めて感じ始めた感じが、また競りあがってクル。
これが、『好き』か。そうなんだな。
「お前さ、ちょっと、というかだいぶ順番間違えたかもしれないが、
今からでもお前の気持ちを相手にぶつけろよ。というか、ぶつけるべきだ」
「ぶつけル?」
「そう。伝えてこいよ」
「なんだよお前らしくない!
何伝えていいかわかんねぇって、今俺に言ってたのそのまま言えばいいだろ!
感想文や小論文やれって言うんじゃねぇんだよ。
きれいにまとめてから伝える必要なんてねぇ!
だいたいお前、普段からそんなきれいに喋ってねぇだろ!
好きな女の前だからってカッコつけようとすんなよ!
お前の言葉はいつも簡潔にも足りな過ぎる!それが災いなんだ!」
「むっ」
「ホントのことだろ!?そんな大事なことも伝えてないなんて。
俺のモノになれって、離したくねぇって・・・・好きなんだってな!愛してるって!そのまま言え!!」
「愛シテル?」
「愛してるってのは・・
ああもういちいち説明するのメンドくせえな!!
お前のその娘に対する感情を言うんだよ!!
「ソノママ」
「そうだ!そのまま言え!!」
最初の三井の、面白そうだとかいう好奇心なんてのは
すでにどこかに吹っ飛んでしまっていた。
さっきから驚きっぱなしで顔と頭がどうにかなりそうだった。
しかも、この無口な後輩の置かれている状況というのが、
今目の前で話を聞いているにも関わらずよく見えてこない。
(相手が口下手のルカワで、この会話の内容ならばなおさらだ)
SEXは知ってるのに好きとゴーカンはわからないって。どういう順番で生きてきたらそうなる?
全部知らないなら逆に納得だが。一部知っていて一部知らないとは。
そして小さな子どもでもわかりそうな一番簡単な 『好き』 がわからなかったようだったし。
しかし、なんといっても驚いたのは、
彼にも人を好きになるといった類の感情があるのだという事実だった。
それに、そういう対象がすでにいるということ・・・。
あれだけどんな女に言い寄られても相手にしなかった流川にだ。
さらにはその感情を相手に伝えることができず悩んでいる流川を、誰が想像するだろう。
「・・・・流川、多分だけどな、
その娘もお前のこと好きなんだと思うぜ」
もっとも、そうじゃなかったらてめーはただの強姦魔。
部活の存続もあぶねぇ。お前はムショ行き。
相手は流川を好きであってほしいというのは、俺の願望。
そして何だか悔しいが、流川を好きにならない女などいないという推測。
「本当はな、普通はな・・ヤるまでには順番ってもんがあるんだよ。
告白して、付き合うってことになって
んでよ、デートしたり手ぇつないだりと・・・まぁ進んでいくわけよ」
目を白黒させてやがる。知らねーんだな・・まったく、こいつは・・・。
「告白ってのは色んな意味があるが・・・まぁ、好きですって相手に伝えることだ。
お前はそーいうことをすっ飛ばしていきなりセックスに・・確信にいっちまったってこった。
そんなもんは、普通は順番から言えば最後の最後なんだよ。
その娘は、お前の気持ちがわかんないから泣いたんじゃないのか?
その娘もお前のこと好きだからセックスしたんだけど、
結局お前が自分をどう思ってんのかわかんねーから、不安なんだよ」
「フアン」
「好きとかつきあってくれって言われねーでいきなりヤられりゃ、
遊びだと思われてもしょーがねーな。傷ついたんだ、あ~あ可哀想に」
「ちげぇ!アソビなんかじゃねー。なんとなくなんかじゃねー」
「だから、オマエは本気なんだって、
そのことを、相手の娘に伝えてこいよ!!
好きで好きでどうしようもなかったからヤっちまったんだってな!!
強く抱きしめて、好きだって、大事だって・・愛してるって言ってこい!!
・・・じゃねーと、しっかりつかまえてねーと他の男に持ってかれっぞ!!」
・・・・・・他のオトコ。
アノ人と同じ学校のガリ勉っぽいメガネとか。海南の黒いオッサンとか。
そんでもって、あいつ・・センドー・・・・・。
・・・・・・・渡さねぇ。
藤真さんは俺のもんだ。好きなんだ、愛シテルんだ。
・・誰にも、渡さねぇ。
三井のその言葉を聞くと同時に授業開始のチャイムが鳴った。
それに弾かれたように、流川はものすごい勢いで走りだした。
もちろん、今からとても授業に向かうとは思えない、
何かを決心したような、そして切羽詰まったような形相で・・・・・・・・・・・。
「おい流川!!・・・・・・・・・って聞いちゃいねぇな」
危機迫った様子・・バスケの試合の時並に、
怖いくらい気合の入った顔で走り去った流川。
残された三井には、
流川がその娘とうまくいくことを願う気持ちしかなかった。
まったくあの問題児のスーパールーキーは、
笑いのネタにもならないヘビーなことを(しかも朝っぱらから廊下で)
よくもあそこまで連発してくれたものである。
それにしても、
あの流川が好きになったオンナって、一体どんなオンナなのか。
・・・・めちゃくちゃ、興味あんぜ。バスケ関係者かな。
で、ありえねぇほど美人とか、可愛いとか。
・・それとも意外とフツーかもしれねーな、ああいうのが選ぶのに限って・・・
いや!
もしかしてびっくりするほどマニアックな面してやがるかもしれねぇ。
んでもって、年上か??なんかあいつ、年上にモテそうだもんな。
同年代や年下じゃあいつの精神レベルに耐えかねる気がする。
いやいや!!
顔や年齢どうこう以前に、あの流川をあそこまで狂わすことのできる人間・・・。・
相当なポテンシャルを秘めてるヤツか・・相当イカれたヤツか・・・。
とりあえず相手も普通じゃない気がする。
『強く抱きしめて、好きだって、大事だって・・愛してるって言ってこい!!』・・・・・・・・・・
さっき、勢いで言った自分のセリフを思い出し、ハッとなる。
おいおい、アイツならそのままやりかねねーかもな。
・・・というか今すでに、それをしに走って行ったのでは・・・?
って、おい!!!
そんなこと直で言われたら引くだろ!!
しかもアイツ、場所とか構わず言いやがりそうだぜ!公衆の面前とかでもお構いナシに・・・!?
!!!・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・ま、しゃーねーか。流川、だもんな。
いずれにせよ、その相手・・・。
にやりと笑って、独り呟く。
あのオフェンスの鬼からは・・
逃げらんねーだろうな・・・ご愁傷さま。
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ルカワ大暴走ー。この若さが欲しいわぁ。
あとも1回だけ、続く!!次回完結!!
<<妄想誘発音源、BGM>>
☆Shokcking Lemon Inner Light
☆shela Rose、I know 〝It’s truth〟
☆椎名林檎 シドと白昼夢
☆東京事変 教育
☆capsule STEREO WORXXX
2005.12.02書きあがり
2013.01.16改訂