そういえば小さい頃から、遊園地に行っても
メリーゴーランドより、ジェットコースターの方がずっとずっと好きだった。

優しさなんて、まったり感なんて、ムードなんて、少しもいらなくて。
欲しいのは、その疾走感と激情感だけだった。
もっとも、幼いころの自分が求めるその気持ち良さが、
シッソウカンやゲキジョウカンだったっていうのは現時点での見解で、当時はそんな言葉まったく知らなかったけど。


時は過ぎて、そんな俺は高校生3年生になった。
精神的にも肉体的にも、それなりに成長して、
それなりに変化したが、たぶん本質は幼いころから変わっていない。
ただ、あの頃より確実に自由になる時間はなくなった。
何かと忙しく、遊園地なんてもの、もう何年も行っていない。

だけど、遊園地ではないところで発見したんだ。

俺だけの、アトラクション。ヘビー級ジェットコースター。

 

11月4日金曜日。放課後。

そういえば、お互い学校とか練習とか、どうしたんだろうか。

もう、ワケわかんないけど俺、

もうこれなしじゃ生きらんない・・・気がしてる。

この感じ、それだけで生きていこう。生きていける気がする。

流川楓が好きだ。それだけだ。

だって、複雑に考え出したら、きっと思考回路が持たない事、わかってる。

だから、「ただそれだけ」って考えてみる。
 

ただ求めるだけ。

ただ恥ずかしいだけ。

ただちょっと気持ち悪いけど、だいぶ気持ち良いだけ。 

あ、さらにアレだ。この一言に尽きる。 

ただ何が何だかワケがわかんないだけ。  

ただ1つだけ、ワケがわかるとすれば、

こんなことされても、こんな目に合わされても、

オレは流川楓に対して嫌悪感はただただない、ということだけ。

つまり結局は、

オレが流川楓を好きだってことだけだ。

ただそれだけだ。

ただ、それだけだ・・・。

 

 

I Want This only1

 


前略、流川楓に犯された。
って・・・・いくらなんでも省略しすぎか。

でも、色々言葉や馴れ初めや、並べたって仕方がない。
今までの出会いや、どういう風にこんなことになったかなんて、事。

ただ、実はお互い自宅が近いとか、お互いの通学路が被っているとか、
そんな偶然なのか、事情が重なり合って色々あって、たまに公園で一緒にバスケをするようになった。

・・・そして何が何だか、何だかんだでここまで来てしまった。

そう、確信まで迫ってしまったら、間の説明などさして問題ではない。
過程など時間の埋め合わせでしかなく、結局結果がすべてだと、俺は考える。

優しさより、猛々しさ。永遠より、刹那。

穏やかさや、癒しなんて流行のキーワードとは程遠い、俺の時間の流れ方。

そして流川楓は、そんな俺に激情とは何かをストレートに伝えてくれた。

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・・・・・・・・流川の息が上がっていた。

少しの余裕もないくらい、興奮しているのがバシバシに伝わってくる。

お互い、身にまとっているものはもうほとんどない。肌と肌が密着するのが、産まれて初めてで不思議な感覚だ。

彼は前戯で散々辱めた俺の上に相変わらず覆いかぶさり、

俺にはもう、逃げ出す体力も気力も残っていないというのに、

相変わらず有無を言わせないバカ力で手首を固定したまま、俺を見下ろす。

・・途中、ふと左手だけがその圧力から自由になった。
やつが、俺の額から目にかけて張り付いた前髪を指先で除けてくれた・・・ようだ。

でも、さっきまでその指先で、俺はいい様に翻弄されていたワケで。

バスケ意外、なんの共通点もないはずの他校の1年坊に。

男という性を持つ自分が、自分以上の大男に。

一時の、快感のためだけに?好奇心の、若さや欲望のはけ口の、刹那のためだけに?

 

・・・・流川楓。相当の変わり者。こいつ、どうかしてる。

俺の裸を見て興奮してる。
おかしい。

そして、この状況を許してる、

いや、 

許してるどころか・・・どこか期待を含んで先を促すように仕掛ける俺は、もっとおかしい。


「るかわ」

俺はやつの目を見て、今にも回らなくなりそうな舌先を使って、はっきりと言った。

そしたら、今までどこか焦点のあってなかった流川が、
その青みがかって見える漆黒の瞳で、初めてしっかりと俺を捉えた。

切れ長。瞳の奥行きに広がる世界を覗きこみたくなる。

その向こうに広がる世界観は甘美で魅力的で、でもどこか危険を孕んでいて。
獣に睨まれた小動物みたいに、俺はさらに動けなくなる。

体中に電流が走る。骨抜きだ。

体の筋肉のどこもかしこも言うことをきかなくなる。

流川は俺を見つめたまま、頬にそっと、ほんとうにそぅっと触れてきた。

そして。

くちびるが。

彼の薄いくちびるが。

俺のくちびるに、初めて・・・重ねられた。

こんなこと、しといて。

SEXと、ほとんど変わらないとこまでしといて、

キスはまだだったことに今頃俺も気づいた。

・・・初めてはほんとにちょっと、触るだけ。

すぐにもう一度。

またもう一度。

触れてはすぐ離れる、

ついばむようなキス。

何度目かの繰り返すキスの中で、

ちゅ・・・・って、音が聞こえた。

 

その音に弾かれたように、 

次からのキスは激しくなった。

流川の舌がまるで意思を持ったイキモノみたく俺の口内を這い回って舌先を絡め取られて

なんだか苦しいし、ちょっとこそばゆいし、

何か考えようとしても脳血管の回路が潤滑に回せなくて・・・もう、どうにでもしてって思った。 

脳みそにあんま酸素がまわんないせいかな??

頭がバカになってくのがわかる。

キモチ良く、壊れてく。

ああ、俺バカんなってく。

だって俺ついに、

涙出てきたよ。

生理的なものなのか、感情的なものなのかも、自分でわからないんだ。両方かな?

ただ、ただお前にだったら、何されても、
例え殺されても良いって思ってるんだ・・・それだけなんだ。バカだろ?

流川、どういうつもりで俺を抱く?

その理由、知りたいけれど、知りたくない。

だから、1番幸せな、無防備な絶頂で、
いっそ、俺を殺してくれたら。

イカされまくったその後に、
その最中に、首を絞めて。

その細い顎で俺に口づけたまま。窒息させて。

最後に俺の目が捉えるものは、お前の陶器のようなブルートーンの白い肌。
そして漆黒の瞳と、艶のある黒髪と。
俺の脳内すべてを、お前のモノクロで埋めてくれ。

 

 


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<妄想誘発音源、BGM>

 

Shokcking Lemon  Inner Light              

shela  Rose、 know 〝It’s truth〟

☆椎名林檎  シドと白昼夢

☆東京事変  教育


なんと7年前に書いていたっぽい流藤が出て来ました・・
しかも初H書いてるー!!自分こんなことしとったんか!!という驚き。
もしかして流藤祭とかに出典したのか?それとも出典用に書いたけど諦めたのか・・・
謎です。とにかく、7年後の今、お目汚しってことで。いやーめでたい(何が?)

2005.12.02書きあがり
2013.01.13改訂