『夜中に爪を切ると親の死に目に会えない』 ってあるでしょ。

 

もっともその俗信、

 

昔は夜になると現代のように電気が発達してなくて真っ暗だったから

 

大人たちが、子どもたちが深爪するのを防ごうと

 

怖がってくれるだろう作り話をでっち上げたのが始まりだったらしいけど。

 

 

 

 

それに習って、

 

『夜中に耳掃除をすると恋人の死に目に会えない』 ってどうですか?

 

もしあったら、どうです?俺の死に目に会いたいと思って、やめてくれます?

 

ねえ、どう思います?藤真さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩暈

ある夏の日の、蝉とカマキリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・はぁ」

 

 

すっきりした。

 

 

 

 

PM23:48。

 

日付も間もなく変わろうとしている、皆眠りにつこうとする時間帯。だが。

俺は今、初めて目が覚めたような気分になっていた。

 

 

7月中旬、このときにも地球温暖化は刻一刻と深刻化して、

明日には全世界を蒸しつくしてしまうのではないか、と思うくらい。

 

 

ちょっと大げさかな?否めないかも。

・・・だって俺は、暑さが苦手で。

 

 

 

 

だから。

 

ほとんど水のようなシャワーを使って、

無添加のボディーソープをしつこいくらい泡立てて、全身洗った。

俺の体は、暑さで溶けてなどいないのだと、ここにあるのだと朦朧と自覚しながら。

その所在を確かめながら・・・しつこいくらいに。

お風呂が大好きな女の子みたく、長い間。

 

 

 

・・・勝手知ったる、彼のバスルーム。

 

脱衣所に水が滴るまま豪快に上がって、水気をポンポン叩くように落としていると。

 

・・・耳に入り込んできたピアノ色の強いサウンド。

 

誰が言ったか、聴いた者は 『今までの罪をすべて懺悔したくなる』、

『自殺したくなる衝動に駆られる』 女性ボーカルに、俺は軽い眩暈が。 

 

 

 

「オー、マイゴッド・・・」

 

 

 

彼に悟られないくらいに小声で呟いて、手を額の前で組んで哀願した。

俺の頭の中では本日彼となんとなく見ていた 『最終警告!本当は怖い家庭の医学』 の、

ドクターの診断が下る瞬間の挿入歌、

某ホラー映画の主題歌でもあるあの歌が、ぐるぐるした。

 

 

 

来るーきっと来るー

 

 

 

・・・来ちゃったかぁ?

2日前にもしたばかりなのに・・・

もっとも、完了しなかったですけど。

 

 

 

 

 

許しを乞うようなボーカルとピアノサウンドに、

浴室の向こうから微かに香る、柑橘系のお香の香り。

この2点セットが出てくるとき。それは、彼曰く 『儀式』 のときだ。

 

 

 

 

 

まぁ、儀式、なんて大層なものではないのだが。

今日も・・・?

ほんとにですか・・・?

俺、疲れちゃいました。今日はもう寝たいんですけど・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・と思っていたら。

 

俺の愛しい恋人は、トンでもないことをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・ひゃっ!?」

「藤真、さん?」

「ばかっ!そんなとこ立ち尽くしてないでフロ上がったなら何か言え!驚いたろうが!」

「いや、俺の方が驚きましたよ絶対」

「・・・今の、見ちゃった?」

「ばっちり。一体何されてたんですか?」

「・・・・カマキリ拳法」

「え・・・蟷螂(とうろう)拳、ですか?」

「そうだけど・・ああ〜、もうっ!なんでこんな恥ずかしいところ見られちゃうんだよ!」

 

 

・・・今の、カンフーだったんだ。

良かった。

奇抜な流派のヨガかと思った・・余分なこと、言わなくて良かった。

 

それにしても。

 

 

 

「それにしても、何でまた」

「あれだよあれ」

「あれ、 って・・・・ああ!」

 

 

彼が指差す先は、ベランダの網戸。

 

小さな小さな、夏ならではの来客が1名。

 

それは、夏本番を待ちきれず、

 

仲間より少しフライング気味に出て来たであろう、小さなアブラ蝉だった。

 

 

「俺今年初めて見ました。まだちょっとしか鳴いてないもの。おまえ、はりきってんなー」

「感心してる場合じゃないだろ!なんか視線感じるなーと思ってたら、止まってるんだもん!」

「こいつ鳴かないな、メスかな?」

「知らないよそんなの!なんでわかるんだよ」

「メスは鳴かないんですよ。鳴くのはオス。メスを引き寄せるための配偶行動なんです」

「そうなのか?オレ生き物にはめっぽう弱くて。知らなかった」

「もっとも産卵管があれば一発でメスだってわかります・・こいつやっぱメスだ。ほらここ」

「さすが神、農学部・・・・・じゃなくって。追 っ 払っ てくれ!」

「はい?」

「・・・こわいんだけど」

「蝉が?」

「うん」

「蝉は刺したり、噛み付いたりしませんけど」

「わかってるけど!!苦手なんだもん!顔が、怖いんだもんっ!」

「怖いんだもん、って・・・」

 

 

・・・可愛い。

嫌がってる藤真さん、最高可愛い。

もっとも本人は、小さなセミ一匹に興奮して本気で乱心状態だが。

彼にこんな表情をさせた通りすがりの彼女を、ちょっと恨めしく思った。

 

 

 

「蝉がこわくて、なんで蟷螂拳やってたんですか?」

「蟷螂拳ってのはその昔、王なんとかって武術家が

カマキリが蝉だったかカラスだったかを捕らえる場面を目撃して編み出した って」

「どこでそんな」

「体育だよ。武術選択したんだけど、先生がマニアックでやらされた」

「カマキリがカラスを・・・?それはさすがにないでしょう。逆でしょう」

「・・・もうっ、なんでもいいんだってば!

とにかくオレはこいつの天敵のカマキリになりきって精一杯威嚇してたのっ」

「はあ」

 

 

なんとも怖くない、ユニークで可愛らしいカマキリだ。

だから彼女も、ここから動かず心穏やかに彼を観察できていたんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「・・あのですね、わざわざカンフーで闘わなくても、こうすれば」

 

腹を網戸越しに つん、 と軽く突付いてやると、驚いた訪問者は思った通りにすぐ飛び立っていった。

 

 

 

「わっ!よかった・・・・さすが神!」

「いや、別にさすがでもなんでも」

「よかったよ・・・怖かったぁ・・神〜」

 

 

・・・そう、甘えた、安心しきった声で俺を呼ぶ。

 

俺は 馬鹿な男、 と言う言葉が脳裏に浮かぶ。

彼ではなく、自分自身のことだ。

頼られて、いい気になれるなんて・・・

こんな呆れるくらい小さなことで。まったく安上がりだ。

 

他の誰かが蝉相手にこんな騒動を起こしていたら、

呆れていい加減にしろよ、と思うところだが。

その 『誰か』 が彼である、というそれだけで、

煩わしさはどこへやら、ひどく可愛らしくさえ思えてしまうなんて。

 

 

・・・と、言い知れぬ感傷に浸っていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・やっと、邪魔者はいなくなったな」

 

そう言って彼は、悪戯っぽく にや っと微笑んだ。

そして、

 

 

「来い」

 

寝ろ、ここに  と、

嬉しそうに自分の膝を指差して、女座りした。

細くて白い左手に、綿棒を持っている。

 

きたー・・・・・

 

やっぱり、カマキリは恐ろしい。

彼の鎌は、純粋の意味の、白い綿棒だけど。それでも。

背後から忍び寄って、機会を窺って。

狙った獲物を、決して逃がさない。

 

・・もうちょっと彼女に網戸に張り付いててもらうんだった。

もう、俺には避けられない。

どう足掻いても、逃げられない。

ヘビに睨まれたカエル・・

カマキリに狙われた、蝉のように。

 

 

 

 

「・・なんでしょうか?」

「前にも言ったろ。一番いいのは、フロ入ったあとなんだな」

「それは、覚えてます。『儀式』でしょうか?」

「そう、だけど?」

「2日前にも、していただいたばっかりじゃないですか。あんまりすると耳がただれちゃう」

「でもさ・・・できなかったじゃん。結局さ」

「・・・そうでしたね」

 

 

 

それが問題なんですって。

 

耳掃除自体も、問題なんですけど。その後はさらに。

今日も、できないんでしょう?きっと。

中断するんでしょう?

それで、それでその後・・・・・

 

 

 

 

 

「神」

「はい」

「おいで」

 

 

 

俺の、乗り気でない声も態度も無視で。

 

あなたが俺に向かって、両手を伸ばす。

 

優しく凛とした声で、俺の名前を呼んで。

 

俺の大好きな、永遠さえ感じる美しい微笑をもって。

 

 

 

・・・・ひどいですよ。

 

 

俺が、抗えるわけ、ないの。

知っててやってるならイジメだし、知らないってもタチが悪い。

どちらにせよこの魅力には、引力には、何をしたって逆らえるわけないもの。

 

 

だから蝉の俺は、『儀式』 に赴く。

操られているかのように、ぼーっとした頭で生贄になりに行く。

美しいカマキリの、ギロチン台に・・・

短パンを履いたすべすべする太股に、横に寝転がる。

 

 

 

 

 

 

「よしよし、神は良い子だ」

「そんな良い子じゃないですよ、俺」

「良い子だよ」

「小さい頃、カマキリ捕まえては頭の三角の部分だけ出して、土に埋めたりしたものです」

「うそ」

「本当に」

「・・・ひっっどいことして遊んでたんだなおまえ・・お兄ちゃんは悲しいよ〜」

「でしょ?残酷ですよ俺。怖いでしょ?」

「でも・・・小さいころの神かぁ・・」

「何か?」

「・・きっとめっちゃくちゃ可愛かったんだろうなっ」

「・・・・そうですかね」

「小さい頃なんてみんな残酷だし。オレだって、蝉をロケット花火につけて飛ばしたりしてたもん。
もっとも、逆にそれがトラウマになっちゃって今じゃこの通り、虫嫌いだけど・・・」

「・・・・さようでございますか」

 

 

幼少の頃の悪事について話しながら、心底嬉しそうに俺の頬を摘まんで びろーん って伸ばしてくる。

ああ、やっぱりね。

最後の力の限りの抵抗も、失敗に終わった。

カマキリの前には、蝉はただただ無力で。

もう、返す言葉も見当たりません。

 

美しいカマキリの、ギロチン台に寝転んだ俺は、

覚悟を決めて安らかに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・じゃ、始めるぞ、動くなよ」

「どうぞ、煮るなり焼くなり鎌で裂くなり花火で飛ばすなり」

「は?」

「いえいえ、よろしくお願いします」

 

 

 

ちょっと上のほうで、彼が小さく呼吸した。

 

その次に、異物が入ってくる感じ。

 

俺の耳の中に、そろそろと。

 

もうこれだけで溜まらない。

 

溜まらなく、くすぐったい。拷問だ。

 

 

何故?

 

 

自分でするときは、平気なのに。

 

 

藤真さんに、されてるから?愛撫、じゃないのに??

 

 

 

 

 

 

「ふ、じまさ・・・」

「ん〜?・・・」

 

集中している様子で、俺の問いかけにはうわの空。

 

俺は、思わず肩に、体に力を入れる。

 

 

 

 

「おい・・・リラックスしろよ」

「無理、な  んですけど・・」

「そんなんじゃ、うまくできないよ」

「やっぱ り・・・自分で やりますから・・・も、やめ」

「だ〜め」

「・・・・・・・っ」

「うそ?神!泣いてんのか?可愛いなぁ〜」

 

 

 

 

もう、いつからこの人こんなSになっちゃったんだよ!

 

早くも俺の視界は、サンズアンプを通したベースの音みたくビリビリに揺らいでいた。

自然と涙が出てくる、なんて・・・・

 

いかんせん、俺はくすぐったがり。

 

もっとも、彼にこの前これをされるまで、自分のそういう部分すら知らなかったが。

 

そして、やめてと言われてやめるはずのない彼。

 

悪戯好きで、天邪鬼。

 

それに加えて、俺の耳掃除をするときだけSを発揮する。

 

これは絶対S気質だ。

 

そして、このときだけMになる俺を、喜んで苛める。

 

今や彼も俺も、両方の気質を持ったアブノーマルになってしまった。

 

どれもこれも、『儀式』の・・・耳掃除のせいですよっ・・・

 

 

 

 

「・・・・・・・!う わぁ・・・・・・・・・・」

「あ〜あおまえ、鳥肌立ってるよ」

「・・くすぐったい、 んですってば」

 

 

彼の、踊って跳ねるような、嬉しそうな声がちょっと上から降ってくる。

その声も、俺を痺れさす媚薬。辱められてる、そんな気分。

 

 

 

 

 


「はっ・・・藤真さん!く・・・すぐったい・・・・」

「ちょっと、黙って」

「え」

 

 

そしてその彼の笑い声がふいに途絶えた、と思ったら。

 

意図を持ったように這い回っていた綿棒が、耳から引き抜かれるのを感じたのと同時。

 

俺は、仰向けに硬質な床に倒された。

 

ああ、やっぱり2日前と同じ。

 

ほら、彼の目はもうこの熱帯夜同様熱を帯びていて。

 

定まらない視線のまま、色気を泳がせながら・・・俺に乗っかってきた。

 

 

 

「痛・・・・・・・・っ」

 

「ごめ・・・・ん」

 

 

 

勢いよく倒されたため、肩甲骨が床に強く当たった。

 

彼はそれを詫びたが、気持ちはそんなところにないだろう。

 

だって今の骨の軋んだ音だって、スネアドラムの音によく似ていて。



きっと彼の人より敏感な聴覚を、奇特な美意識を、卑猥に刺激したに違いないから。

 



 

そう、

 

 

それはまるで、カマキリの捕食シーン。

 

 

獲物を捕まえるは、一瞬の出来事。

 

 

あとは、仕留めた獲物を、彼は・・・彼は俺を、何時間もかけて骨まで貪りつくすだけ。

 

 

 

 

 

「神・・・・・」

 

「ふじまさ・・・ん・・・っ・・」

 

 

 

Tシャツを、もどかしくたくし上げられ。

 

耳を、咥えられ。目尻に滲む涙を、舐め上げられ。

 

首筋に、鎖骨に噛み付かれ。

 

彼の、残酷なまでに卑猥で優しい鎌が、俺の全身を這いずり回る。

 

彼のしなやかな鎌が、淫靡な舌が。

 

俺の体に引っ掻き傷や鬱血を残していく。

 

 

 

 

さっき入浴したばかりの、

やっと汗を拭ったばかりの肌に、

また、いとも簡単に淫猥な汗が浮かんでくる。

 

彼で飽和状態になった俺の体は

どんどん蒸されて、後はもう溶け出していくのみ。

 

 

そう、

 

 

・・・俺の下半身まで裸にして散々弄んだ彼は、俺のモノに自ら身を沈めてきた。

今は、俺の上に乗っかって、自分から腰を揺すっている。

 

 

 

 

 

 

 

俺は、自分の上で乱れる彼を見ながら、

 

思う。

 

ああ、まただと。

 

これのどこが耳掃除なんだと。

 

『儀式』 は耳掃除のことではないじゃないか と。

 

自分でする、というと彼が怒るけど、

 

でも、今度という今度は、こっそり自分でやってしまおう と。

 

 

それに、何が困るって、

 

入浴後だからだ。

 

この前だって今回だって、1時間前には何回もセックスしたばっかりで。

 

俺は、汗を止められない。体が持たない。

 

夏のせい?・・彼の性欲は、なんだかすごい気がする。

 

すっぽんとかマムシドリンクとか、

精力増強させるのに効果的な食べ物があるなら、

 

精力減退させる食べ物もあってもいい・・・

・・・それは何だ、彼に食べさせなくては と、真面目に俺は考える。

 

 

 

 

 

 

 

でも。

 

俺は一方で、頭の片隅で、そっちが本音で、

 

思う。

 

思ってしまっている。

 

彼の、鎌になら俺は何度捕まっても構わない と。

 

俺は彼になら、自分から近寄っていく、蝉になれる。

 

そして残酷なほどに美しいカマキリのあなたに、


あなたの思うがままに俺は蝕まれる・・・

 

それで、もし、

 

このひと夏にも満たない短い命が朽ち果てようとも、

 

・・・・まったく後悔は、しない と。

 

 

 

 

 

 

本音のイカれた俺が、彼から与えられる甚振りをもっと欲しがる。

 

 

この滑稽でエロティックな 『儀式』 に、もっとべっとり浸りたがる。

 

 
だから、彼の腰をきつく掴んでは、下から強く強く突き上げる。

 

 

もっと、もっと深く彼が欲しい と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・上から降ってくる、彼の嬌声と、汗。

 

定まらない、自分の視線、思考。

 

その中で・・・別の誰かの視線を感じた。

 

虚ろなまま、彼を突き上げながら、

 

繋がっている部分からせり上がってくる快楽に身を任せながら、その視線の主を探した。

 

そして、その先の・・ベランダの網戸にくっついている小さな出戻り訪問者と、目が合った。

 

さっきの・・・・・・?

 

アブラ蝉。

 

 

 

 

 

 

すると、

 

もう一方の、俺が、助けを乞う。

 

ねぇ。君は夏しか出てこないんだろう?今だけなんだろ?

 

だったらその夏の間くらい働いてくれ・・デバガメしてないで。

 

この状況の、俺を助けてよ。

 

でないと、美しいこのカマキリに、

 

最後の汗の、精液の一滴まで吸い尽くされそうだ。

 

 

何だって?

 

のろけるな、だって?

 

好きなくせに、だって?

 

そんな風に、見えるか?

 

そんなに、余裕じゃないよ。

 

ほんとに助けて、逃がして欲しいんだ。

 

・・・じゃないと、また蒸しあがる。

 

ここで、俺は溶ける。溶かされる。

 

彼の魅力を前に、抗うこともできずに跪く。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

貴方の 腕が 声が 背中が ここに在って 

 

私の乾いた地面を 雨が打つ

 

逃げることなど出来ない 

 

貴方は何処までも追って来るって

 

泣きたい位に分かるから 

 

分かるから

 

 

 

 

前の公園から、夏本番へ向けて、仲間に快楽行為を誘う蝉の鳴き声。

 

オーディオからは、あの女性ボーカルの・・ピアノ伴奏の聖歌。

 

絡まったその2つは、俺と彼の熱を、眩暈がする程に上げるばかり。

 

 

 

7月中旬、このときにも地球温暖化は刻一刻と深刻化して、

明日には全世界を蒸しつくしてしまうのではないか、と思うくらい



・・・ある夏の日の蝉とカマキリは、その熱の中につかの間の永遠を見つける。

 

 





 

・・・貴方の、腕や声や背中が、確かにここにあって。

 

 

「大丈夫だ」 って、聞こえた気がして。






ねぇ、俺は上手に笑えてます?

 

 

・・・そう俺は、泣きたいくらいに藤真さんに蒸されていた。

 

 

この上なく甘く、眩暈がする程に熱い熱で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考音源

 

 

眩暈
Tiger in my Love
castel imitation(鬼束ちひろ)

 

DRASTIC MERMAID
SCANDLOUS BLUE
TEAR’S LIBERATION(access)

 

make believe(weezer:アルバム)

 

3104丁目のダンスホールに足を向けろ
くちづけ(ブランキージェットシティ)

 

feel like”HEAVEN”(HUH:リングの主題歌)

 

 

 

 

 

 

参考御ブツ

 

 

赤ワインのアロマキャンドル、
ジバンシーのウルトラマリン、
バーバリーのウィークエンドフォーメン、

アクセスの3部作のビデオ、櫻○宗久。
見直したスラムダンク(原作、アニメ、ともに)、
初体験のカンフー、後輩らのライブ。スーさんお誕生日。

















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