このねっとりした、品定めの熱視線。

 

 

毎度のことだがカンベンだ。

 

 

 

こいつとの骨までしゃぶられるようなSEXの方がまだ慣れる可能性があるってもんだ、

実際・・・このいやらしい視線だけはいつまで経っても慣れることがない。

オレとこいつの間に、勝手に介入してくんじゃねえよ。

 

 

 

Feeling This

I'm feeling this  オレは、いつもそう感じてる。

 

 

 「ちょっ・・後ろ見て見て!ヤバいって!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!・・・・!!」

「何?・・・キャっ!超カッコいいんだけど!」

「・・・!?・・・!!・・・・・・・・、・・・・・・・??」

「ホント高校生!?めちゃデカいし!!何?モデル!?スポーツ選手!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!・・・・!!」

「きゃー!!まぢ好みなんですけど!あの学ラン!!」

 

・・・その熱視線の発信源は彼女たち。

電車のホームで。

まぁ今は偶然ホームなだけで、場所は選ばずコイツといればよくこの状況に突入する。

登りの階段で、前を歩いてる女子高生3人、が振り返った・・と思ったら瞬時に色めきたった。

 

見てんじゃねーよ。

オレの男だ、こいつは。

  

親衛隊ができるくらいモテるこいつ。

こいつと付き合ってる、、コイビトのオレ。

 

しかしオレは彼を・・流川楓を誰かに譲る気はまったくない。

・・というか、このポジションを奪えるものなら、誰か奪ってみろって思う。

 

 

・・だって流川と付き合えるのなんて、オレしかいない。

 

 

言っとくがこいつと付き合おうと思ったら揺るぎない忍耐が必要で、

それはそんじょそこらの小娘がちょっと努力したとこで手に入るような並の忍耐じゃあない。

 

 

背が高いからとか、顔がイイからとかバスケが超うまいからとか、

そんな理由でお気軽に付き合えるやつじゃないんだ!こいつは。

 

こいつの超・ゴーイングMYウェイさに押し出されて、 

カッコイイ!男らしい! だなんて思って惚れて、

付き合ったら最後、

 

『つくされる』 

 

なんて言葉とは無縁の人生の始まりだ。

 

周りからのジェラシー?

こんな(見かけは)カンペキな男と比べられる劣等感?

・・・そんなものはまだ序の口だ。

 

 

そうだ、日夜苦労が耐えない。

相手が無口ゆえにオレが言葉を補わなくてはいけない?

(言葉少なでもわかりやすいやつだが)

それに、こいつの言いたいことに気づいてやらなくてはならない?

(それが面白みでもあるのだが)

 

・・・いやいや、今述べたことなんて 

『ルカワと付き合う』 

という瞬間からわかりきっていた、基本規約にすぎない。

 

 

 

付き合う前に予測不可能だったこと

&、確認しておくべきだった特記事項

=素晴らしく余分なオプション。

 

・・・・・・・・何物も、購入前にはもう1度よく考えてみるべきなのである。

 

 

・・流川楓の行動パターンはほぼ4つに分類される。

というか、それ以外のやつの行動をオレは思い出せない。

それは、オレの記憶がどうこう・・ではなく、単にやつがそれ以外の行動をしていないからなのだろう。

・・・さて、よってらっしゃい見てらっしゃい、流川楓、4つの行動パターン大公開。

 

食う

寝る

バスケ。

ヤ(犯)る。
 

・・お粗末様でした。

芸も仕掛けも何もなく、コレだけ。コレだけあればこいつは毎日、
健康に消化不良なく過ごすことができる。

呆れるくらい単純なやつだ。

そして最後の

 

『ヤる』

 

これはヤられる方は本気でたまらない。

 

ヤられる人のための心構え。

そんなものはない。そんな余裕は皆無。

だって気が向いたら、いつでも・・だもの。拒否権はないのだもの。

有無をいわず押し倒されるんだもの。

 

このバカデカくて異常なくらいガキで、
まっすぐな欲望を直球で受け止めるのは、なかなか体力のいる仕事だぞ?

練習でくたびれてるときなんて・・ちょっと思い出したくもない。

バスケではおまえのことをスタミナ不足とか呼ぶやつらもいるらしいが、

こっちの方面では完全に否定してやれるぞ。

そのくらいオレは、ひどい目にあってる。

・・・・気持ちイイときだって、たしかにあるけど。

 

 

・・・とにかく、そんなこんなでオレは今では 『Hつきの母親』 状態だ。

こんな状態に、そんじょそこらのワガママ女子高生が耐えられるわけがない。

我慢強いオレだからできてるんだ、こんな役回り、オレしかできないんだ。

 

・・・と言い聞かせてる。いつも。

 

 

ただ、オレのこの大きな赤ん坊は、

何故かオレ以外の人間に興味を示さないから。

それが、一般的の恋人同士にもかなり難しいことのように思えるけど、だ。

本当に、この流川は実際にオレにしか懐いていないのだ。

うぬぼれでも、なんでもなく。

言葉少なで、ときには読解不可能で、言語能力はきっと幼稚園児並・・

・・の流川に、愛されてるんだなーって思える唯一のとき。

 

そんなところが男らしく、一途で、ガキなこいつにオレが惚れてしまってる最大の原因といえるだろう。

 



とにかく、そんな彼なので、

もちろん今も、

外見だけに踊らされてキャーキャー色めきたってる、

うるさい女子高生たちを、こいつが見てるはずが・・・

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・ あ  っ  た。

 

  

・・まじまじ見ていた。

 

威嚇してるとか呆れてるとか、そんなんじゃなく。

いつもは切れ長の、オレの好きな真っ黒の目をまん丸にして。

ぱんつが見えそうなくらい丈を短くした制服のスカートを、

押さえて階段を上がっていくそのうるさい女子高生たちを。

ルカワに熱視線を送っているその小娘たちの視線を、受け止めて・・・・・?

 

そんな様子をぽかんと見上げていたオレを、ルカワが振り返った。

そしてひとつ、 はァ と小さなため息。


 

おい。

なんだそのため息は。

さっきまで女子高生のスカートを、

透視でもするのかってくらい真剣に見てたクセして、

人・・・オレの顔見て、

ため息・・つくってのか・・?

 

・・・・オレの怒りは、

これまでのオレの生涯であったかわからないくらいに、一気にリミッター超えした。

 

 

 

あー!藤真って苦労症!!!!!
でも性格は直らない。なかなか。